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【ラグビーコラム】NZ代表が見せた高いスキル 何事もおろそかにしない王国の矜持(サンケイスポーツ)

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出典元: ハカを披露するNZフィフティーン=3日、味の素スタジアム(撮影・蔵賢斗)

【ノーサイドの精神】ニュージーランド(NZ)代表「オールブラックス」が11月3日、日本代表と5年ぶりのテストマッチを行った。結果は69-31でオールブラックスの貫禄勝ち。日本もNZ戦史上最多の5トライを奪うなど、健闘した。

 NZは、その前の週の豪州相手のブレディスロー杯に主力を出し、日本戦は若手主体だった。それでもスペースを見つける能力と、そこにボールを運ぶスキルは、この国でラグビーをしている選手は標準的に身につけているのだなと感心した。

 日本の守備ラインは素早く相手との間合いを詰める「シャローディフェンス」を採用している。これはどうしても、ラインの裏側にスペースができてしまうのだが、そこをNZはついてきた。おそらく個人の判断なのだろうが、空いた裏のスペースへゴロパントを転がしてトライに結びつけたのが3度。日本はWTBにヘンリー ジェイミー、FBに山中亮平と、いつもとは違う不慣れなメンバーが入っていたことも影響したかもしれない。

 ただ、狙ったところにボールを転がすNZのスキルは、やはりすごい。特に後半23分、右タッチ際ぎりぎりでパスを受けたCTBンガニ・ラウマペが、わずかなスペースにキックを転がし、自分で追ってトライを決めたのも、キック技術の高さがあったからだ。

 かつて、こんな動画を見たことがある。20メートルほど離れたかごに向かい、オールブラックスの選手が後ろ向きでキックする。ポーン、ポーンとリズミカルに蹴られた5、6個のボールは、全てかごに入った。

 ホットドッグロールを左手で持ち、後ろ向きで構えた選手に向かい、15メートルほど離れた位置からソーセージを投げると、ピシャリとロールの切れ目に収まった。今度は空いていた右手にケチャップのボトルを投げると、それもドンピシャリ。遊びとはいえ、そこまでのスキルを持っている。

 1987年、その年の第1回W杯を制したNZは初来日し、日本代表と2試合した。国立競技場での第2戦でNZは106-4で圧勝したが、後半に日本代表WTB沖土居稔が左タッチライン際を駆け抜け、日本が2試合で唯一のトライを奪った。そのとき「タッチに出ていたじゃないか」とタッチジャッジに猛抗議したのが、のちに日本代表のヘッドコーチとして2度のW杯を率いた、当時22歳のWTBジョン・カーワンだった。楽勝の100点ゲームでも、1つのプレーをおろそかにしないのが王国の矜持であり、それが高いスキルにもつながっていると思ったものだ。(田中 浩)





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