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加藤未唯/二宮真琴ダブルス 94年生まれのライバルたち(TENNIS.JP)

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出典元: 加藤未唯/二宮真琴

「絶対に負けたくなかった」
先週行われた『花キューピットオープン』(広島市開催)のダブルス決勝で顔を合わせた4選手のうち、3人までもが、そう言った。
3人の内訳は、ジャン・シューアイと組んだ穂積絵莉と、二宮真琴/加藤未唯のペア。少女時代から旧知の仲である94年生まれの3人は、互いが互いを意識せざるを得ない存在だ。

3人のなかで精神的に最も緊張を強いられたのは、広島出身の二宮だろう。親族はもちろん、幼少期から自分を指導してくれたコーチや恩師たちも顔をそろえる観客席。「とても緊張した」ことに加え、相手は今年の全仏でペアを組んだ穂積だ。

「絵莉ちゃんだから、いつも以上に負けたくないと思った」ことを、二宮は否定しなかった。
その思いは、ベスト4に進出した昨年の全豪をはじめ、穂積と長くペアを組んできた加藤にしても同様だ。「いつもと同じ試合」と自分に言い聞かせたと言うが、それはそうでもしなければ、相手を強烈に意識してしまうということだろう。

対する穂積には、相手が日本人ペアなうえに地元の二宮が居ることで、アウェーになることへの覚悟が端からできていた。そしてそのような状況の方が、発奮し良いプレーができる自分の特性も知っている。加えるなら「真琴が緊張するだろう」ことも織り込み済み。精神的には、穂積の方が伸びやかにプレーできる状況にあった。

果たして決勝の一戦は、多くの局面で穂積が望んだ展開となる。ジャン・シューアイも強烈なストロークで押し込み、二宮と加藤が得意とする前での動きをさせなかった。
第2セットに入ると、二宮と加藤は揃ってベースラインに下がり、後方から打ち合うようになる。これは穂積にしてみれば、想定外ではあった。だが「二人の武器である前での動きが無くなった分、少し楽になった」という。

加藤と二宮たちの狙いは、ストローク主体の相手に対し、敢えて同じ土俵に乗って勝負しようという点にあった。自分たちの王道的なダブルスの動きが、どこか相手のプレーに噛み合わないとの思いがあったのだろう。だがやはりそこは、自分たちの強みが生きる場所ではない。
「もっと2人で、前で動けていれば……」
自分の土俵に相手を引き込むべきだったと、試合後に加藤は悔いた。

結果として今大会では、穂積が勝者の喜びにひたり、準優勝の加藤と二宮は悔しさを噛み締めた。そのいずれもが、他の対戦相手では、あるいは別のパートナーとでは味わえぬ固有の感情だろう。そうして掛け替えのない一戦を経て、同期のライバルたちはまた、それぞれの道を進む。

穂積は、当面はシングルスを優先すべくオーストラリアのITF大会へ。
ダブルス専念を公言した二宮は加藤と組み、国内開催最高峰大会である東レパンパシフィックオープンへと向かった。日本のファンの大声援を浴びながら笑顔でコートを掛ける2人は、本日も際どい試合を勝ちきり、決勝戦へと進出している。





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