みんなに伝えたいスポーツ情報

森保Jはトルクメニスタン戦で油断 前半は良さをまったく出せず(サンケイスポーツ)




[ 元の記事 ]
出典元: ゼムノビッチ氏

9日のアジア杯初戦トルクメニスタン戦は、3-2で日本が逆転勝ちした。前半に先制点を許した日本は、後半にFW大迫勇也(28)=ブレーメン=の2得点で逆転に成功。MF堂安律(20)=フローニンゲン=も追加点を奪い、初戦を白星で飾った。J1清水の元監督で、海外と日本のサッカーに精通するズドラヴコ・ゼムノビッチ氏(64)は、格下相手に苦戦を強いられた要因を分析した。

 やはり初戦は難しい試合となった。前半に限っていえば、日本は日本のよさをまったく出せずに、相手のペースに合わせてしまった印象がある。

 大会前、私は森保一監督(50)と話す機会があったが、監督は「日本らしさを出して勝ちたい」と力強く語っていた。私も同感だ。日本の持ち味が出れば、アジアでは負けることはないだろうし、世界でも戦うことができる。では、森保監督のイメージする「日本らしさ」とはなんなのか。私は日本人の“DNA”がつくり出す特有のサッカーだと考えている。

 まずは「持久力」だ。陸上競技でも強さを発揮しているように、日本人は走り続ける能力が高い。90分とおして前線からハイプレスを仕掛け、攻守で試合の主導権を握ることができる。昨年のロシアW杯でもこの持久力で強豪と渡り合うことができた。

 次に「アジリティ」だ。機敏、敏捷(びんしょう)性を意味する言葉だが、日本人はこれにたけている。狭いところに入っていける動きや、相手を一瞬でかわせるターンの速さを備えており、これに細かいパスワークが加わることで素早いテンポのある攻撃を可能としてくれる。

 そしてもう一つは「勤勉性」。それぞれが自分たちの仕事を全うする意識を持っている。相手がボールを持った際のアプローチや、カバーリングなど、戦術をしっかりと理解してチームのために戦う。ここまで統率されたチームは、日本以外にはないだろう。

 しかし、この“DNA”はトルクメニスタン戦、特に前半はほとんど発揮されることはなかった。雰囲気もあっただろう。日本は常に満員のスタジアムでやってきたが、今回は観衆がまばらな会場。このような環境では、選手のモチベーションもなかなか上がらないもの。さらには格が下のチームが相手。戦う前から勝つ可能性が高いといわれる試合ほど、メンタルのコントロールが難しいものはない。欧州でもドイツ、スペインといった強豪国が陥ることが多々あるが、環境、相手に合わせて自滅する。初戦の難しさ、国際大会の難しさを示す典型的な試合となった。

 けが人が多く、中盤のボランチは柴崎岳(26)=ヘタフェ=、とDFが本職の冨安健洋(20)=シントトロイデン=が組むという“急造”となった。冨安は流れをつくる選手ではなく、これが試合を難しくした一つの要因でもある。2人が機能しなかったことで、攻守のバランスが崩れてしまった。

 もちろん日本の持ち味が出た場面もあった。FW大迫勇也(28)=ブレーメン=の1点目は、ターンのうまさが光ったゴールだった。大迫は空中戦での強さ、足下の技術、ポストプレーの強さを備えており、日本に欠かせないFWへと育っている印象を感じた。

 大迫の2点目もDF長友佑都(32)=ガラタサライ=が最後まで諦めないでボールを追いかけ、ゴールライン際で左クロス。「諦めない」という日本人のよさがここでも出た。MF堂安律(20)=フローニンゲン=の3点目も機動力、俊敏性が発揮された得点だった。

 油断したという反省点はある。しかし、これは収穫だ。この反省を次ぎに生かせるようになれば、日本はさらに強くなる。まずは第2戦のオマーン戦も勝利して、決勝トーナメント進出へ前進してほしい。(元清水監督)

 ズドラヴコ・ゼムノビッチ(Zdravko Zemunovic) 1954年3月26日生まれ、64歳。ユーゴスラビア(現セルビア)出身。現役時代は国内リーグなどでプレー。引退後はオシム元日本代表監督が当時指揮を執っていたチームの2軍監督などを歴任し、95年に初来日。鳥栖(当時JFL)のコーチを経て2000年12月に清水の監督に就任した。VONDS市原(関東1部)の監督を経て、現在は千葉県協会テクニカルアドバイザーを務める。


キーワード