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大迫2発!試合に出られない時間が強さと自覚を生んだ…担当記者が見た(スポーツ報知)




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出典元: 後半11分、ヘディングで先制ゴールを決める大迫勇也(カメラ・竜田 卓)

◆アジア杯▽準決勝 日本3―0イラン(28日、UAE・アルアイン)

 FIFAランク50位の日本は28日、同29位のイランを3―0で下し、優勝した11年以来2大会ぶりの決勝進出。FW大迫勇也(28)=ブレーメン=が後半11分に頭で先制し、22分にはこの日2得点目となるPKを決めた。対アジアの公式戦39戦無敗だったイランに完勝し史上最多5度目の優勝に王手。大迫の自覚を内田知宏キャップが「見た」でひもとく。日本はUAEを4―0で破ったカタールと、2月1日の決勝で対戦する。

 FW大迫は両手を広げながらベンチに向かって走り出した。後半11分、MF南野のクロスを頭で合わせ、今大会無失点のイランゴールをこじ開けた。「出場できない時間が続いていた。チームのための点を取ろうと思っていた」。ベンチ前で列を作って手招きするサブ組の元にたどり着くと、飛び込んでくる仲間を両手と胸で受け止めた。大きな体が、さらに大きく映った。

 10年前を思い出した。09年、鹿島に加入して数か月がたった頃、プロの壁に直面した。J屈指のFW陣に囲まれ出場機会が減った。「試合に出られなかった経験がなかった」という男は練習中にやる気のない態度をとった。すぐにオズワルド・オリヴェイラ監督(現浦和監督)に呼び出され「そういう態度は良くない」と厳しく叱責された。

 12年ロンドン五輪代表は、ベンチでの態度が一因となって落選したとの見方が根強くある。ドイツ1部ケルン時代も、出場機会に恵まれない時期に直面した。ただ周りには傷をなめてくれる友人も、愚痴を言えるだけの語学力もなかった。「腐っても何もならないし、意味がない。置いていかれる」。試合に出られない時ほど、トレーニングに集中するようになった。

 2得点したトルクメニスタン戦(9日)で右でん部の痛みを再発させ、以降4試合先発から外れた。スパイクは履いていなかったが、ベンチから一緒に戦う姿があった。ハーフタイムには先んじて選手を迎え、守勢に回ったサウジアラビア戦(21日)では守備陣に声を掛けた。準々決勝ベトナム戦(24日)ではベンチの最前線で声をからしていた。判定への抗議も激しかった。

 5試合ぶりの先発。「ピッチの中で、プレーで示そうと思っていた」と序盤、ファウルを受けた相手と主審に詰め寄った。右足首を踏まれても、腹に回し蹴りを食らっても、ファイティングポーズを取り続けた。後半22分にPKを決めた後、同じようにベンチへ走った。麻未夫人と4歳の長女がスタンドに駆けつけた中で2得点し今大会4点目。時に遠回りをしたかもしれないが、痛みや弱さを克服した分だけ幹は太い。まさに大黒柱だ。

 史上最多5度目の優勝は目前だ。「勝つしかない。結果だけ。勝つしかない。このアジア杯を取れれば、若い選手にも自信になる。さらに強い日本代表になれると思う」。チームの思いを背負い、エースとして大会を締める。(内田 知宏)


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